國學院大學の講習会を受講したいと考えている方へ。
結論から言うと、
國學院大學の神職講習会は、誰でも自由に受けられるものではありません。受講するには、神社からの推薦が必要です。
私自身、30代でこの講習会を受講し、神職になりました。
父が亡くなったことをきっかけに神職を目指し、父が在籍していた神社に頭を下げて推薦をお願いしたのが始まりです。
この記事では、受講の条件から講習会の中身、実際に受けて感じたきつさまで、体験をもとに解説します。
國學院大學の神職講習会とは
國學院大學の神職講習会は、神社本庁の制度に基づいて開かれている、神職の資格を取るための講習会です。
神社の後継者や神職として奉職する予定の人を対象としています。
短期間で神職として必要な資格を取るためのもので、原則として、すぐに資格が必要な人に受講が認められる仕組みです。
一般的な公開講座とは性質が異なるため、「興味があるから受けてみたい」という理由だけでは受講できない点に注意してください。
講習会の期間は約1か月です。私が受講したのは夏の回で、修了して「直階」という階位をいただきました。
なお、取得する階位によっては年に2回開かれているので、最新の日程は國學院大學の募集要項で確認してください。
受講の条件
國學院大學の神職講習会を受講するには、主に次の条件を満たす必要があります。
・原則として65歳まで
・一定の学歴があること
・推薦状が2通あること
・事前の試験に通ること
年齢は原則65歳まで
受講できるのは、原則として満65歳までとされています。
そのため、「定年退職後に神職を目指そう」と考えている方は、タイミングによっては申し込めない可能性があるので注意が必要です。
学歴の条件
・短期大学卒業以上(またはそれと同等以上)
・もしくは現在、大学または短期大学に在籍していること
学生の場合、夏の回は夏休みとほぼ重なります。長期休暇をすべて講習に充てる覚悟が必要です。
※条件は取得する階位によって異なります。最新の募集要項で確認してください。
推薦状が2通必要
受講には、次の2通の推薦状が必要です。
・奉職予定の神社の宮司からの推薦状
・その神社を管轄する神社庁長からの推薦状
推薦状をもらうには、先に奉職する神社が決まっている必要があります。推薦状の集め方や準備の流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。
神主になるには?資格の最短ルート・難易度・費用【現役神職が解説】 | 神主の本音ブログ
事前試験の導入
以前は推薦状さえ揃えば受講できましたが、現在は事前の試験が行われるようになったそうです。
これから受講する方は、推薦状の準備と試験の対策、両方が必要になります。最新の選考方法は、國學院大學の募集要項で確認してください。
講習会の中身
大学4年分の内容を1か月で学ぶ
講習会では、大学の神職課程で4年かけて学ぶ知識や作法を、わずか1か月で詰め込みます。
信じられないほどの速さで進むので、予習・復習の習慣と、自分から学ぶ姿勢が欠かせません。
1日の過ごし方
講習は、大学の授業と同じくらいの時間帯に、朝から夕方まで行われます。
内容は、講義(座学)と実技(作法の練習)の2つです。私の回は受講者が多かったため、グループに分かれて受けました。
当時の私は東京に住んでいたので、自宅から通っていました。地方から参加する人は、用意されている寮を利用するか、自分でホテルを手配していました。
講習が終わって家に帰ってからも、休んでいる暇はありません。夜は祝詞を声に出して練習したり、神道の本を読んだりしていました。
正座と跪居(ききょ)のつらさ
神職が座るときの基本姿勢は正座です。
皆さんは普段、正座をする機会はありますか?
おそらく今この記事も、椅子に座るかリラックスした姿勢で読んでいる方がほとんどだと思います。
もしよければ、この場で一度正座してみてください。
もう足がしびれてきませんか?
神職は、祭典の最中に長時間の正座が求められることもあります。
胡床(こしょう)という椅子に座る場面もありますが、正座が問題なくできないと務まらないほど、基本中の基本として重視されています。
現代では椅子の生活が当たり前なので、正座に慣れていない人も多いと思います。
そして、私にとって正座以上にきつかったのが「跪居(ききょ)」でした。
跪居とは、膝を床につけ、つま先を立てて座る姿勢です。折り曲げたつま先に、体重がそのまま乗ります。
私は足の親指が90度までしっかり曲がらないので、つま先への負担がえげつないです。
最初の頃は、5分も維持できませんでした。
それでも講習会では容赦なく指導されますし、長時間の正座の後でも、何事もなかったかのように立ち上がる所作が求められます。
あ、まだ正座を続けて読んでくれていますか?
「そろそろ限界…」という方もいるかもしれませんね。
講習会はきつい?受けて感じたこと
神社の知識がある前提で講義が進む
実際にきつかったのは、神社に関する知識がある前提で講義が進むことです。
受講者の多くは神社関係者で、体感では8割くらいが何かしら神社に関わっている人たちでした。
一方で私は、ほぼ普通の家庭で育っています。
実家が神社というわけでもなく、父が神職の資格を持っていた程度で、普段の生活で神社に関わるのは、初詣や観光で神社に寄るときくらいでした。
その状態で講義を受けると、専門用語が当たり前のように出てきて、置いていかれる感覚になります。
「今、何の話をしてるの?」
周りを見ると、神様の名前や日本神話を普通に理解している人も多く、「住んでる世界が違うな」と感じる場面もありました。
もう一つ印象的だったのは、神社の世界にも「格」のようなものがあることです。
もちろん露骨ではありませんが、歴史のある神社や、元皇族・五摂家など由緒ある家系の人に対しては、自然と気を遣う空気があります。
たとえば出雲大社の千家家や北島家のように、代々神社に奉仕してきた家系も存在します。そうした世界を知ると、独特の価値観があると感じました。
どんな人が受講していたか
私が講習会を受講した時も、いわゆる「興味があったから参加した」という人はほとんどおらず、明確な理由を持った方が集まっていました。
主に多かったのは、以下のような方々です。
・神社の後継者として、急遽資格が必要になった人
・すでに何らかの形で神社に関わっており、正式に神職として任用される予定の人
・実家が神社で、家族から「資格を取るように」と言われて参加した人
親の死去や代替わりといったタイミングで受講している方も多く、「いずれ」ではなく「今すぐ必要だから来ている」という空気感が強い講習会でした。
一方で、現役の学生の中には「将来的に必要になるから」という理由で参加している方もおり、全体の中では少数ながらもそうした層も見られました。
社会人と学生、それぞれの苦労
社会人にとって、約1か月の講習会に参加するのは想像以上に大変です。
有給休暇をフルに使う人、思い切って退職する人、夜だけ仕事を続ける人など、時間と生活のやりくりに四苦八苦している姿を多く見ました。
一方で学生は、せっかくの夏休みを丸ごと講習会に捧げることになります。
当然アルバイトはできず、収入ゼロ・支出ばかりという現実に不安を感じる人もいました。
さらに地方在住の人は、東京までの交通費や1か月分の生活費に加えて、寮やホテルの費用もかかります。家族がいる人や貯金が限られている人にとっては、お金の準備も試練のひとつです。
だからこそ、どちらの立場でも早めの情報収集とスケジュール管理が大切です。
講習会の費用の目安
講習会にかかる費用は、私が受講した当時で、おおよそ次のくらいでした。
・受講料:十数万円
・登録料:5万円くらい
・教科書代:5万円前後
合計すると、20万〜30万円前後です。
車の運転免許を取るのと同じくらいだと思ってもらえれば、イメージしやすいと思います。
ただし、これは講習会そのものにかかる費用です。
社会人なら講習期間中の収入が減ることもありますし、地方から参加する場合は、交通費や1か月分の生活費、寮やホテルの費用も別にかかります。
金額は変化していくと思うので、最新の費用は國學院大學の募集要項で確認してください。
よくある質問
誰でも受講できますか?
→ できません。
奉職予定の神社と神社庁からの推薦状2通に加えて、事前の試験に通る必要があります。
何歳まで受講できますか?
→ 原則として65歳までです。
仕事をしながら受講できますか?
→ 講習は朝から夕方まで約1か月続くので、働きながらの受講はかなり難しいです。
有給休暇を使ったり、休職や退職をしたりして参加する人が多くいました。
神社の知識がなくても大丈夫ですか?
→ 大丈夫です。
私もほぼ普通の家庭で育ち、知識ゼロに近い状態で受講しました。ただ、講義は知識がある前提で進むので、神様の名前や神道の基本は、事前に本で少しでも触れておくと楽になります。
まとめ
國學院大學の神職講習会は、約1か月で神職の資格を取れる講習会です。
ただし、誰でも受けられるわけではなく、推薦状2通と事前の試験が必要です。
講習は大学4年分の内容を1か月に詰め込むもので、正座や跪居など、体力的にもきつい場面があります。
それでも、神社とは縁の薄い普通の家庭で育った私でも、修了して神職になることができました。
大切なのは、早めに奉職先を見つけて推薦状を準備することと、受講前に少しでも神道の基礎に触れておくことです。
講習会にたどり着くまでの葛藤や、推薦してくれた神社に奉職できなかった話は、noteの「人生立て直しシリーズ」で書いています。
これから受講を考えている方の参考になれば嬉しいです。
ここまで、読んでくださり、ありがとう
良い一日を。

