神社でお参りするとき、「これで合ってるのかな?」と不安になったことはありませんか?
境内の掃除をしながら参拝者の姿を見ていると、手探りでお参りしている方をよく見かけます。
でも、最初にこれだけ伝えさせてください。
作法を完璧にできている人は、ほとんどいません。
神主として私が一番大事だと思っているのは、
「ちゃんと神様に向き合っているかどうか」です。
極端なことを言うと、作法は二の次です。
そのうえで、知っておくとお参りがもっと気持ち良くなる基本の作法を、現役神主の目線でまとめました。
この記事を読むと分かること
・神社参拝の基本の流れ
・鳥居・手水舎・お賽銭の作法
・二礼二拍手一礼のやり方
・参拝でよくある疑問
・境内で神主からのお願い
神社参拝の基本の流れ
細かいことは一旦置いておいて、まずはこの5つだけ覚えれば十分です。
- 鳥居の前で一礼
- 参道は端を歩く
- 手水舎で手と口を清める
- お賽銭を納める
- 二礼二拍手一礼でお参りする
手水や二礼二拍手一礼の作法は、神社本庁でも基本として紹介されています。
ただし、神社や地域によって作法が違うこともあります。境内に案内板があれば、そちらに従ってください。
神主として参拝者を見ていると、はっきりと差が出ます。
・作法は完璧でも、流れ作業のようにお参りする人
・少しぎこちなくても、丁寧に手を合わせている人
どちらが良いか。圧倒的に後者です。
私の神社には、毎日お参りに来る方がいます。
出勤する前に必ず立ち寄って、手を合わせてから仕事に向かう人。
定年退職されてから、毎日決まった時間にお参りに来る高齢の方。
作法がとにかく綺麗な方もいますが、みなさんに共通しているのは、一回一回を丁寧にお参りしていることです。
境内の掃除をしながらその姿を見ると、こちらまで背筋が伸びます。
①鳥居のくぐり方と参道の歩き方
鳥居は、神様の世界と外の世界の境目です。
くぐる前に一礼するのは、「お邪魔します」という気持ちを伝えるためです。
参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。
鳥居をくぐるときは左右どちらかに寄り、正中に背中を向けないように歩き出しましょう。
・左に寄った場合 → 左足から歩き出す
・右に寄った場合 → 右足から歩き出す
ただ、混雑しているときに無理に避ける必要はありません。大事なのは「意識しているかどうか」です。
お参りが終わって鳥居を出たら、振り返って一礼します。こちらは「ありがとうございました」の気持ちです。
綺麗な一礼をしている参拝者を見かけると、神主側も自然と気持ちが引き締まります。
参道の真ん中を歩くことなど、悪気なくやってしまいがちな行動は、こちらでまとめています。

②手水舎(てみずしゃ)での作法
手水は単なるマナーではなく、「心と体を整える行為」です。
「手水舎」は「ちょうずや」とも読みますが、私の神社の宮司も、ほかの神社の宮司さんたちも「てみずしゃ」と呼んでいます。
最近は手水をせずにお参りする方も見かけますが、できる限り手と口を清めてからお参りしてください。
柄杓がある場合
- 一礼する
- 右手で柄杓を持ち、左手を清める
- 左手に持ちかえ、右手を清める
- 右手に持ちかえ、左手に水をためて口を清める(柄杓に直接口をつけない)
- もう一度、左手を清める
- 柄杓を立てて、残った水で持ち手を清める
- 柄杓をもとに戻す
ここまでを、最初にくんだ1杯の水で済ませるのが美しい所作とされています。
柄杓がない場合
最近は、柄杓を置かずに、水が流れ出るようにしている手水舎も増えました。
- 一礼する
- 流れている水で、両手を清める
- 両手で水を受けて、口を清める
- もう一度、両手を清める
ここを丁寧にやるだけで、お参りの空気が変わります。
③お賽銭の金額と鈴の鳴らし方
お賽銭箱の上に鈴がある場合は、お賽銭を納める前に鳴らしましょう。神様に自分がお参りに来たことを知らせる意味があると言われています。
よく「語呂合わせで縁起の良い金額を入れるべき」という話を見かけますが、私は気にしなくていいと思っています。
「5円=ご縁がありますように」のような語呂合わせは、雑誌やSNSなどで広まったもので、神社の正式な作法ではありません。
大切なのは、日々の感謝を伝える気持ちです。
神主の本音:お賽銭は神社の大切な収入です
ここで、神主として正直に言わせてください。
お賽銭は、神社にとって大切な収入源です。
全国には約8万の神社がありますが、大きな神社ばかりではありません。神職が常駐していない神社も多く、1人の宮司がいくつもの神社を掛け持ちしていることも珍しくありません。
神社の収入だけでは生活できず、ほかの仕事と兼業している神職もたくさんいます。
「神社はお金に困っていない」と思われがちですが、それは一部の大きな神社の話です。
さらに最近は、小銭がそのまま神社の収入にならない事情もあります。
お賽銭の小銭を銀行に預けると、枚数によっては数百円の手数料がかかります。1円玉や5円玉ばかりだと、手数料のほうが高くなってしまうこともあるんです。
だからこそ、正直に言うと、
「1000円などの紙幣が本当に助かります」
もちろん、無理に高い金額を入れる必要はありません。気持ちがこもっていれば、金額は関係ありません。
神職のリアルな収入は、こちらで公開しています。

④二礼・二拍手・一礼のやり方
神社から特別な案内がない場合は、「二礼二拍手一礼」で大丈夫です。
- 二礼:姿勢を正して、90度の深いお辞儀を2回
- 二拍手:胸の高さで手を合わせ、右手を少し下にずらして、2回拍手する
- 祈る:ずらした右手を戻し、手をきちんと合わせて、心を込めて祈る
- 一礼:手を下ろしてから、深いお辞儀を1回
よくあるのが、「手を合わせたまま最後のお辞儀をしてしまう」ことです。祈り終わったら、手を下ろしてから一礼してください。
なお、出雲大社のように「二礼四拍手一礼」でお参りする神社もあります。案内がある場合は、そちらに従ってください。
丁寧に二礼している姿は本当に美しく、神職たちも素直に「あの人、綺麗な所作だな」と感心します。
参拝に関するよくある疑問
御朱印はいつもらうべきか
お参りをした後に、いただくのが基本です。
御朱印は記念スタンプではなく、お参りした証です。
参拝せずに御朱印だけを求める方については、神職の中でも受け止め方が分かれます。せっかくなら、先にお参りを済ませてから社務所に来てください。
受付時間や書き置きの有無は神社によって違うので、事前にホームページで確認しておくと安心です。
御朱印のいただき方は、こちらで詳しく書いています。

これから御朱印帳を選ぶ方は、こちらも参考にしてください。

引いたおみくじはどうするか
結ぶ場合は、専用の結び台か、結んでもよいとされている木に結んでください。
時々、結ぶ場所ではないところに結ばれていることがあり、神職としては困ってしまいます。
持ち帰っても問題ありません。私自身は持って帰る派で、たまに家で読み返しています。
お守りはいくつ持っていてもいいか
問題ありません。
「神様同士がケンカする」と言われることがありますが、日本には八百万の神がいるので、気にしなくて大丈夫です。直感で「これが良い」と感じたものを選んでください。
古いお守りの返し方
1年ほどを目安に、お参りのついでに神社へお返しするのが一般的です。お返ししたお守りは、神社でお焚き上げをしていただけます。
ただ、1年以上経っていても、自分で「役目を終えた」と感じるまで持ち続けて問題ありません。
最後は感謝の気持ちを込めてお参りし、神社にお返しするのがベストです。
お札の返し方や、家での置き場所は、こちらで解説しています。

参拝時の服装は?
気軽なお参りなら、特に決まりはありません。
ただし、御社殿でご祈祷を受ける場合(お宮参り・七五三・厄祓いなど)は、スーツや着物などの正装が基本です。
サンダル履きやラフすぎる服装だと、お断りしている神社もあります。「目上の人のお宅に行く服装」をイメージしてください。
お宮参りや七五三の服装は、こちらで詳しく紹介しています。


神主から、境内でのお願い
最後に、神主として境内でお願いしたいことを3つだけ。
・ペットの散歩コースにしない
境内で、ペットのフンや尿をそのままにされると、神職としては本当に困ります。ペットの同伴を断っている神社もあるので、案内を確認してください。
・タバコは決められた場所で
禁煙の張り紙があるのに吸っている方を、時々見かけます。喫煙所がある神社では、そこだけでお願いします。
・社務所や立入禁止の場所には、一言かけてから
社務所のトイレを借りたい時は、社務所の窓口で声をかけてください。
何も言わずに社務所に入ってこられると、こちらも「どなたですか?」と驚いてしまいます。「関係者以外立入禁止」の場所にも、入らないようにお願いします。
どれも、知らずにやってしまう方がほとんどです。
他にも、悪気なくやってしまいがちな神社でのNG行動は、こちらでまとめています。

まとめ|神社参拝は気持ちが大事
最初から全部を完璧にする必要はありません。お参りを重ねながら、少しずつ身につけていけば大丈夫です。
境内に立っていると、不思議と目に入る参拝者がいます。
作法が完璧というわけではないのに、丁寧に手を合わせている。ただそれだけで、印象に残るんです。
毎朝、出勤前に立ち寄る人も、毎日決まった時間に来る高齢の方も、きっと最初は手探りだったはずです。
作法に自信がなくても大丈夫です。
少しだけ意識を向けるだけで、お参りはちゃんと変わります。
神社は、いつでもフラッと来ていい場所です。
ここまで読んでくださり、ありがとう。
良い一日を。

