「神主って、休みあるんですか?」
よく聞かれる質問です。
確かに神社は、年末年始がとにかく忙しい世界です。そのため、一般的な会社員とは「休みの感覚」がかなり違います。
実際、年末年始が終わる頃には、疲れて記憶があいまいになることもあります。
今回は現役神職として、できるだけリアルに「神主の休日事情」をお話しします。
神職に休みはあるのか?
休みはあるが、「普通の日数」ではない
もちろん神職にも休みはあります。
ただし、普通の会社員のような「土日休み・完全週休二日制」とは大きく異なり、神社の都合に合わせたシフト制の休日です。
また、休みたい日に重要な神事があれば、その日は休めません。
神職の休みは月6日でシフト制
私が奉職している神社では、休みが月6日でシフト制です。
基本的に神社は年中無休です。
祭事やご祈祷の予定を見ながら全員の勤務を調整しています。
誰かが必ず神社にいる状態を維持する必要があります。
だからこそ、人数が多い神社では個人の休みを分散して神社の運営ができるようにしています。
勤務時間は8時半〜17時
勤務時間は、基本的に8時半から17時までです。
ただ、その日に祭典がある日は、朝7時前後になることもあります。
年間休日は80日弱
月6日の休みに、1週間ほどの有給休暇を合わせると、年間の休みはだいたい80日弱です。
年末年始の月も、休みは6日あります。ただ、1月15日頃までは気が休まりません。休みといっても、半休になることもあります。
また、例大祭の時期は当然休めません。ほかのご祈祷の予定や、ほかの神職とのバランスを見ながら調整するので、6連勤や7連勤は普通にあります。
1年を通した神社の仕事の流れは、こちらで紹介しています。

休みの日でも、急な神葬祭が入ることがある
完全にオフの日もあります。
でも、急な神葬祭などで、休みが変わることもあります。かつては旅行中でも、神葬祭が決まれば戻って対応する時代もあったそうです。
さすがに今はそんなことはありませんが、休日でも「もしかしたら何かあるかも」と思ってしまうのは、神職らしいところかもしれません。
年末年始は15連勤
神職の仕事で、一番忙しい時期が年末年始です。
私の場合、この時期は15連勤が当たり前になっています。
大晦日は通常勤務を終えた後、夜21時〜22時頃に再び神社へ向かいます。そして初詣対応が始まり、そのまま元日の夜まで動き続けます。
翌日も早朝から出勤です。
この頃になると正直、曜日感覚も時間感覚も薄れていきます。
感覚としては「修学旅行の夜」や「文化祭前日の深夜テンション」が何日も続くような状態です。
アドレナリンが出ているので動けますが、身体には確実に疲労が蓄積しています。
実際、職員同士で濃いコーヒーや栄養ドリンクを片手に乗り切ることも珍しくありません。
正直、気合いだけでは乗り切れない時もあります。
年末年始が近づくと、私は事前にユンケルをまとめ買いしておきます。
「今日はどうしても踏ん張らないといけない」という日の朝や、15連勤の折り返し地点で、自分への気合い入れとして飲んでいます。
神職といっても、特別な力があるわけではありません。
無理をしすぎず、頼れるものには頼りながら、この繁忙期を乗り切っています。
体調を崩してしまっては元も子もないので、気合いと一緒に、体調管理だけは気をつけています。
元日は神社が戦場
年末年始の神社は、想像以上に戦場のような忙しさになります。
境内には多くの参拝者が訪れ、授与所やおみくじは常にフル稼働状態になります。
巫女さんが6人以上並んで対応していても、行列が途切れることはほとんどありません。
神職も表に立ちますが、巫女さんに任せている時は、お守りの補充やトラブル対応をしつつ、新年祈祷を執り行っています。
お守りなどは事前に大量に用意していても全然足りず、社務所の中はどんどん慌ただしくなります。
しかも、社務所の窓口を完全に開放するため、冷気がずっと入ってきます。
足元にストーブを置いていても、真冬の寒さの中で業務を続けるのは、非常に厳しい戦いになります。
正月が終わっても忙しさは続く
「正月さえ終わったら一安心ですね」と思われがちですが、1月15日頃までは気が抜けません。
世間の正月休みが終わった瞬間に、企業や個人のご祈祷が一気に始まるため、むしろ正月明けからも忙しさは続きます。
正直この時期は、精神的にも体力的にも限界です。
それでも平然とした態度で、「明けましておめでとうございます。それでは令和◯年、株式会社□□の新年祈祷を斎行します」と始めています。
そして、帰宅後は夕食はそこそこに、汗を洗い流して寝るだけです。
とにかく体力回復に集中します。
ただし、疲れているにアドレナリンが残って目がバキバキになり、無駄にスマホをいじったりしています。
私の場合は、ストレスで太るタイプではなく、逆に痩せるので、正月後は数キロ落ちることもあります。
嬉しいのは、正月シーズンを乗り切ると、正月手当が手渡しでもらえることです。
その後はタイミングをずらして、2日間程度の休暇をもらってボロボロになった体と精神を癒すために、温泉に向かうのが通例となっています。
正月手当も含めた、神職のリアルな収入は、こちらで公開しています。

それでも神職を続ける理由
ここまで読むと、「かなり大変そう」「ブラックじゃん」と思うかもしれません。
確かに、楽な仕事ではありません。土日休みはないですし、年間休日も少ないです。自慢できる給料でもありません。
それでも、この仕事を嫌いにはなれません。
何もない日は、きっちり定時の17時で終わりますし、世間が混んでいる時期を避けて休めるのも、魅力の一つです。
それから、お供え物をいただけるのは、とても嬉しいです。お米や野菜、果物、和菓子など、嬉しいものばかりです。鯛をいただくこともあります。
そして何より、日本の伝統行事の中心に関われるのが最高です。
・お宮参りで、赤ちゃんを抱く家族
・七五三で、着物を着た子ども
・神前式で、緊張している新郎新婦
そういう人生の節目に立ち会うたびに、「この仕事を続けて良かった」と思います。
たとえば、安産祈願をしたご夫婦が、数か月後にかわいい赤ちゃんを連れてお宮参りに来てくれた瞬間は、すっごく嬉しくなります。

まとめ
神職の仕事は、「休みがない職業」ではありません。
ただし、一般的な会社員の働き方とは大きく違い、繁忙期と閑散期の差が激しい仕事です。
月6日のシフト制、年間休日は80日弱、年末年始は15連勤と、特殊な勤務形態があります。
それでも、人生の節目に関わることができるこの仕事には、ほかにはない価値があります。
神職の収入や、神職になる方法は、こちらで書いています。


神職になるまでの私の話は、noteの「人生立て直しシリーズ」で書いています。

ここまで読んでくださり、ありがとう。
良い一日を。

