
神主は「神様に奉仕する」を中心に、祭祀だけでなく社務所での対応や地域との関わりなど、幅広い業務があります。一言でいうと、「神社を守り、訪れる人の人生の節目を支える仕事」です。
【神主の主な仕事内容】
・祭祀(ご祈祷・神事の執行)
・社務所業務(お守り授与・受付対応など)
・清掃・境内管理
・事務作業・書類対応
・地域行事やお祭りの対応
実際には「神事だけしている仕事」と思われがちですが、ほとんど地味な業務が大半を占めています。
この記事では、現役神職の立場から「神主のリアルな仕事内容」をわかりやすく解説します。
神社の仕事
神主の仕事であまり知られていないのが、日常的な裏方業務です。
正直、神主の仕事は、ご祈祷よりも様々な名もなき作業がメインだと言えるかも知れません。
例えば、境内の清掃は毎日のように行います。大量の落ち葉の掃き掃除や雪かき、時には庭職人のような剪定も行ない体力を使う作業もかなり多いです。
また当然ながら事務作業も多く、サラリーマンのように書類作成など、デスクワークも欠かせません。
さらに、神社によっては宿直があり、夜間の対応を行うこともあります。
令和の時代に合わせると、ブラックになります。
その理由は、目に見えない部分の仕事が多いからです。
例えば、
・毎日のご祈祷と現場作業
・祭事の準備による忙しさ
・宿直や不規則な勤務
など、体力的にも精神的にも負担がかかる瞬間があります。
実際にこの業界に入って「思っていたより大変」という声は少なくありません。
筆者が奉職している神社は、神職(神主)が複数いて、どちらかと言うと中規模な神社だと言われています。明治神宮や伊勢神宮などの有名な神社だと職員が多数いるので、しっかりと部署が分かれて、担当の業務に専念するようになっています。
しかし、私が奉職している神社は、全部行います。あらゆる事を全部します。
神社の代表である宮司が、自分らが中心に行動していきたいタイプなので、できる限り自分達で行います。なので、プロの現場のお兄さん達が着用するような作業着を実際に着て作業をします。
長い脚立に登って枝を切ったり、ネット注文した倉庫を自分らで建てたり、塗装作業したりと、日頃は泥臭く動きます。
ただ、それでも神主という仕事にはやりがいがあります。
人生の節目である七五三や安産祈願、神前式などに関わり、人の願いに立ち会えることができるからです。
また、神道は日本の伝統や文化を守る役割を担っている部分もあります。
恐らくに神職に向いている人は、地道な作業を続けられる人や色々な人と関わることが苦ではない人です。一方で、「神事だけをやりたい」「楽そう」というイメージを持っている人には、奉職する神社によっては、ギャップを感じるかもしれません。
神職の仕事 基本的3種類の仕事
神職の仕事 例大祭
気合いと緊張感を持って取り組む祭祀です。
祈年祭、新嘗祭(にいなめさい)のほか、神社のご鎮座に関わる祭祀も執り行われます。
神職にとって最も重要で大切です。
まだ慣れていない新人の時期だと、緊張で手足が震えたり、次の動作が飛んだりします。
また筆者がいる神社では、春季例大祭と秋季例大祭が斎行される時期に合わせて屋台が並んで、大いに盛り上がるお祭り期間となっています。
しかし、準備が非常に大変なんです。
実行員会は別に存在していますが、神主達は彼らの準備の準備を行います。
お祭り会場の整備、警察や役所に必要書類を提出したりと、地味で様々な力作業を行っています。
忙しい過ぎて、どうやって乗り切ったのか分からないくらい時々記憶が飛んでたりしている一方、学園祭の準備をしている時の妙に興奮した状態にもなります。
別の神社さんを例に出すと、朝の2時半に起床して3時半に出社。4時から祭事の支度を始めて6時に執り行う。と、各神社によって準備の大変さが異なります。
やっと片付けが終わって帰れると思ったら、今度は飲み会があります。神社界では「直会(なおらい)」と呼んでおり、氏子さんや関係者らとの重要なコミュニケーションの場となっています。
神社界の飲み会は、今の感覚と比べると非常に激しいかもしれません。
朝方まで飲んで、そのままお祭り2日目を迎えることもザラにあるようです。
全国の神職が同じようなタイプとは言い切れないですが、タバコを吸う方も多いので、昭和のような飲み会が繰り広げられてます。
因みに筆者の神社では、コロナ禍を機に氏子さんたちとの大規模な直会は中止してます。
神職の仕事 依頼に基づき行われる祭事
七五三や厄除け、地鎮祭に加えて神前式などのことを指します。
これらは祝詞の内容が異なるだけで、ご祈祷の内容はだいたい一緒です。
七五三や厄払いなどのご祈祷は20分ほどで終わり、地鎮祭でも30分程度で終えます。
頻繁に行うので、すぐに慣れて大変なご祈祷ではないです。
ですが、前段階で準備が重要になのです。
例えば七五三のシーズンである11月だと、一日に何十組のご家族がくるので、子供たちに渡す千歳飴の準備に加えて、独自に用意した記念品を超大量に用意しなければいけません。

これは、厄払い・地鎮祭でも同様です。
筆者が奉職している神社での厄払いの指定日の期間だと一日に200組以上来ることもあるので、この時は七五三よりも受容品を準備する必要があります。
「やっと終わったー」と思っても、すぐに次の祭事の準備に取り掛からないといけません。そんなことが続いていくと、もう正月がやってきます。
それぞれのご祈祷はバラバラでも、大まかな流れは一緒です。
神職の資格を習得する際に基本的な作法は学びますが、あくまで基本です。
ところが、神社によって独自の作法や順番があります。マニアックなところの差異って感じです。
仏教の宗派によっては「今何をやっているか全く分からない」となるらしいですが、神道はそういうことは起きません。
具体的に言えば、祝詞でも神主さんによって選ぶワードが違ったり、それぞれの神社で口上のリズムが異なってきます。
もし神社へ行った際に生で聞く機会があれば、お祓いの作法と祝詞を地元の神社と比べてみるのも面白いと思います。
神職の仕事 社務所
お守りやおみくじ、御朱印の授与、祈祷の受付けがメインになります。
彼らを見て「単純作業で楽そうだな」と思ったことありませんか?神職になる前まで、いつも思っていました。
怒涛の時間が過ぎることもありますが、常に誰かに見られるため気が抜けた状態を見せれません。なので姿勢よく背筋を伸ばす必要があります。
ただ正直に書くと人が居なければダラダラして、人の気配したら瞬時に姿勢を正しているだけです。
他には資料作成をする場合や祝詞を書いている時もあります。
電話やメールでも問い合わせが来るため、答えられるように常に勉強する姿勢は持ち続けないとダメです。神職でも分からないことは沢山あります。
参拝者の中には神職よりも詳しい知識をお持ちの方も少なくありません。そんな人に出会うと、なに聞かれるのか心配になって、ビクビクしてしまいます。
造詣の深い方からの質問は対応できますが、スピリチュアル系の参拝者の相談は答えられません。
神職は見えたり神様からのお告げも受け取る事は出来ません。
全国の神職の中に1人くらいは見つかるかもしれませんが、神職は普通の人間です。
ただ無下に出来ないので、その人の不安を解消させるために対応はしています。
意外と知られていない裏側の仕事内容
ここからは参拝客の目に触れない部分、もっと裏側の仕事についてご紹介します。
神社の規模が小さいほど仕事は多岐にわたり、規模が大きいほど細分化されています。
また一般の企業の新人と同様に、若い者ほど泥臭い仕事を頑張らないといけません。
神職の仕事 清掃
神職の基本の仕事といえば、掃除です。
これは年齢が上がっても立場が上でも変わらない基本中の基本です。「礼で始まり礼で終わる」と似ています。
常に清掃しますし、大きい祭祀の前にも御社殿や境内の清掃は必ず行います。
「掃き清める」という言葉があるように、神社は清潔に保たれなければいけません。
落ち葉が塵積って雑草がボウボウの何か怖いと感じる神社よりも「お参りに行くとホッとする」と思ってくれるように掃除をします。
普段は、ほうきで境内を掃きますが、時々ブロワーで一気に掃除をしたりします。
緑が生い茂る季節には雑草が生えるので雑草取りに苦戦し、紅葉シーズンになると落ち葉集めに苦戦します。
もし雪が降る地域だと雪かきもあります。参拝者が安全に歩けるように、いつもより早めに出社して雪かきをしている神職達もいます。
神職の仕事 事務系の仕事

神社でも書類作成やHP更新、メール問い合わせ対応などでパソコンは必須アイテムです。時にはスマホで仕事を行っていることもあるので、「あの人サボってる」と思わないで欲しいです。
社報やご祈祷後に渡す受容品をまとめたり、おみくじの在庫確認&発注といった作業を社務所の受付けと平行しつつ、行っています。
今の若い世代なら何も問題は無いと思いますが、神主を目指す人なら最低限のPCスキルとして、ワード・エクセル等のスキルは身につけていた方が良いです。
またHPは自前で更新しているところも多いため、簡単なweb知識もあれば戦力になりますし、SNSでの情報発信力が優れていると結構重宝されると思います。
未だに前時代的な考えや仕事が残っている業界ですが、PCスキルは出来るのが前提で仕事が進みます。
何故かパソコンやインターネットを否定的に考える宮司さんもいらっしゃいますが・・・
神職の仕事 勉強
これは神社界だけでなく、どこの会社に行っても変わりませんよね?
筆者は代々神社の家系の人間ではありません。
一般家庭の人間が神職になったので「ナニソレ知らない」と思うことばかりです。
神道と日本の歴史、奉職している神社の歴史、お祓いの作法、話術や経理関係(簿記3級程度)も必要です。また神社=御朱印と考える人も多いと思います。
書道がうまいだけでも非常に重宝されます。
筆者は習い事で習っていたことが今役に立っています。
他には暗算が得意だと良いです。神社ではキャッシュレスは全く進んでいません。
現金のやり取りが中心で業務が行われます。普段なら暗算が不得意でも問題はありません。
しかし、年末年始になると話が変わります。
あらゆるお守りの注文が入り、人によっては一万円以上買い求める参拝者がいます。瞬時に合計金額お伝えなければなりません。
とりあえず電卓は用意されていますが、それを使えないくらい年末年始は忙しくなります。

神職の仕事 宿直
神社に泊まって深夜に仕事をします。
中、大規模の神社ならほぼやっていると思います。筆者が奉職している神社では、この宿直を中止しているので具体的な内容を知りません。
先輩神職に聞くと、一晩神社に泊まって数時間仮眠とった翌日、定時まで通常の業務を行っていたそうです。ただでさえ休みが少ないのに、プラスで宿直は心が折れそうですね。
別の神社の神主さんの体験によると、宿直は月5回。夜21時と深夜2時に境内の見回り。朝5時に起床して鍵を開ける。7時に太鼓を叩く。その後は定時まで仕事だそうです。
読むだけでも大変なスケジュールですね。
宿直は神社によって仕事内容が異なるため一概に言えませんが、だいたいこんな感じです。コレが当たり前って、ブラック企業と感じちゃいますね。
神社を辞めてしまう原因にもなっています。
神社の仕事 お祭り
神社では毎日お祭りをやっているって知ってましたか?
それが「御日供祭(おにっくさい)」。筆者が奉職している神社では「ニック」とよんでいます。
これは神様にご飯をお供えする祭りです。
朝だけの神社と朝夕する神社、朝昼晩と3回行う神社もあります。
お供えするものも神社によって多少異なりますが、米・塩・酒・水の四種類は必須です。氏子さんから奉納された果物とかを一緒にお供えすることもあります。
それと毎月やるお祭りとして月次祭(つきなみさい)があります。
国家や氏子さんの安泰を祈るお祭りで月初めの1日に行います。1日だけの神社と15日に行う神社があります。
早めの時間帯に行われるため、神社のご近所さん以外は知らない人も多いと思います。
地域の人であればどなたでも参加できます。そして神職が3分程度の講話をしています。コレも大変なんです。ネタ探して話す内容を考えるのが。
神社の仕事 まとめ
神主の仕事内容について紹介しましたが、皆さんはどう感じました?
ハッキリ言うと、神社業界はブラックです。本当に。
これが現実なんです。
お祭りやお祓いなど一見優雅に見えても、ソレはあくまで一部分です。普段は雑用のような業務が主な仕事になります。
また”親ガチャ”のように神社界にも神社ガチャ”や”宮司ガチャ”的なモノがハッキリあります。
神社系ブログで記事を書いている人が元神主が多い理由は、ガチャに外れてしまった方々です。
テレビで常に紹介されているような有名な神社でも「あそこは超絶ブラックだから就職辞めとけ」ってものが普通にあります。
逆に地方のあまり有名ではない神社が隠れホワイトだったり、しっかりと地域特有の閉鎖的考えの神社も存在しています。
筆者は、元々ブラック企業に勤めていた会社員だったので、今の奉職している神社でブラック企業だなと感じることはないです。
また宮司さんも業界的には若い年齢なので、昔ながらの体制をだんだんと払拭しているので、働きやすい神社だと思っています。
最後まで読んでくれてありがとう
良い一日を。

